24 1月

出産時ドキュメント 産まれました(2)

緊急事態に慣れている看護師さん達が冷静に準備を進めていく中、
私は驚きと不安で涙があふれました。

診察室の外で待っていた母に、言葉にならない涙声で

「私…今から…」

驚いた表情の母の顔を見たのがやっとで、

「大丈夫だよ。今から少しずつ準備を始めていくからね」

と看護師さんに励まされ、車椅子で処置室に連れて行かれる私。

本当なら前日にする色々な処置や採血も、
入れ替わり立ち代わり看護師さんがテキパキと
進めていくのをただ見守るだけ。

私の担当の先生はどこ?

さっき診察室へ入る直前、
別の患者さんと話しをしていたのを見かけたけれど、
ちゃんと私の手術に入ってくれるよね?

不安を煽られるようなことばかり言われたけど、
なんだかんだ言いながら、一番頼りにしていた先生だから、
最後もちゃんと手術は担当の先生にお願いしたいと願っていました。

それには先生のお休みの日や夜中の緊急手術は避けたいなと思っていたので、
この事態は一抹の不安を覚えないではいられませんでした。
この時17時半になろうとしている頃でした。

そこへ私の担当医が登場!

「破水しちゃったー?」

「しちゃったー 😥 」

よかった、先生ちゃんといる時で。

ベッドに乗せられて手術室に運ばれていく私を
駆けつけた父がビデオをかまえて撮影してくれました。

もしかして緊急手術になったら、
きっと間に合わないだろう主人のために
映像で残しておいてほしかったので、
ビデオを撮ってもらうようお願いしてあったのを
ちゃんと覚えていてくれたようです。

長い入院生活の間で仲良くなった看護師さん達も駆けつけてくれて、
総師長まで飛んできてくれました。
皆さんに手を握って応援してもらい手術室に見送られて、
ある意味幸せでした。

この時18時くらいだったと思うので、
かなりのスピードで手術の準備が整ったと思われます。

この日の予定の手術はすべて終わっていた時間でもあったので、
手術室も空いていたし、先生達もまだまだ帰らない時間だし、
看護師さんたちは交代の時間でたくさんの人数の方がいたそうで、
これだけの準備が早く整ったと後で聞かされました。
麻酔科と小児科の先生達も
物すごい速さで準備を進めてくれていたのですが、
私は既に陣痛が始まっていました。

定期的に痛みが押し寄せてくるのに耐えながら
手術が始まるのを待つばかり。
せっかく帝王切開で産むのだから、
陣痛は経験しなくていいと思っていたのに、
これでは両方の痛みを経験することになるの??

そして麻酔の処置が始まりました。

横向きに寝てひざを抱える格好で、
背中に打たれる麻酔が一番痛いと聞いていたのですが、
痛みはそれほどでもなくすぐに終わりました。

さらに局所麻酔を注射され、麻酔の効きを確認するために
体の上の方とおなかの方の冷たさの感じ方が違うことを調べます。

足が動かせなくなり、完全に麻酔が効いたことを確認すると
いよいよおなかを切り開く処置が始まります。

先生達が私のおなかを取り囲み、

「じゃ始めます、よろしくお願いします」

などというドラマで見たような言葉が聞こえてきて、
電動メスの音と少し焦げ臭い匂いがしてきました。

産まれました(3)へ続く

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